2011/06/20

先斗町の点景

 四条通から上った直ぐの箇所での点景です。観光客の方が多く写真を撮影する場所でもあります。日本の、京都の路地空間らしい感じを受けます。海外の観光客も多くが撮影をしている場所でもあるので、日本的な空間として感じているのかもしれません。電線や電柱、道の幅、お店の看板や隣家との隙間が少ない空間。かつての先斗町はどんな風景を醸し出していたのだろうかと思います。

 先斗町の通りの空間は、人の目線、視野に入る要素の占める割合を見てみると、空の面積は少なく、人工的な構造物によって多くの面積が占められています。しかし、それが厳しく圧迫した感じをさほど受けません。観光客が多くあふれている時期などでは、圧迫感を多く受けますが、視野の中へ行き交う人がさほど多くない場合、それら人工構造物は、空間と調和しているようにも思えます。

 風景、景観は、見る人によって大きく感覚が異なってきます。感覚の違いを統一するのは難しく、それを数値データ化することは、とても厳しいのではないかと思わざるを得ません。大多数の人の認識で、「良い空間」として提示されれば、「良い空間である」と言われやすくなるようです。しかし、大多数の人が思う良い空間とは、そもそも何でしょうか。

 この先斗町の点景でも、よい空間と思う人と、よろしくない空間と思う人、見る人の数があればあるほどその感想も多くなっていきます。良い空間、悪い空間には、風景に対して何かの法則があるかもしれません。

四条通上る点景