2023/07/28

看板

 大津市の京阪電車の踏切を渡ろうとしたときに目に飛び込んできた「旅館」の文字。通る電車に分かるように書いてあります。旅館名は無くただ「旅館」と書いています。何だか主張の潔さを感じます。この大きな壁いっぱいの文字を見て,昭和の中頃の風景を感じました。周辺の空間もなんだか懐かしいような街並みで,踏切の光景も懐かしい雰囲気を醸し出しています。夕焼けが似合いそうです。こういった風景は,私が子供時代だった昭和50年代ごろ,普通にあった空間でしたが,平成に入り,バブルを経験し,景気も下がり,そして令和に至る過程の中で,どんどんなくなってきた感じを受けます。

 風景は,一長一短で完成するものではありません。街ですと,そこに住まう人たちや訪れる人たちによって形作られていきます。そういった時間をかけて出来た街が私は好きです。皆さんはどうでしょうか。新しく出来上がった街も,もちろん楽しそうですが,時間をかけて作られて,知らない間に気が付くと出来上がっていた街は,そこにあって普通に感じられますので,それはそれで面白いとは思いませんか。

 文字で表現するのは,私にとってとても難しいですが,写真はその光景を視覚で話してくれそうです。これからも周りを見渡して良い風景を見つけて行ければと思います。

看板大きい


2023/07/16

上高地の田代湿地

 上高地の田代湿地は,とても魅力的です。植物を見るのも,景観そのものを見るのも,どちらも魅力があります。以前来た時は,雨降りの中でしたが,今回はたまたま天気も良く,穂高連峰も美しく見ることができました。足元の方での湿地にはイチョウバイカモ(Ranunculus nipponicus Nakai var. nipponicus)が見られ,ゼンテイカ,いわゆるニッコウキスゲ(Hemerocallis middendorffii Trautv. et C.A.Mey. var. esculenta (Koidz.) Ohwi (1949))も咲いており,すがすがしい高原の空気と透明感のある光と風と,最近は山にも登れていませんでしたので,この光景を見られただけでも満足できました。美しい景観は,やはりずっと残って欲しいものです。

穂高連峰と田代湿原です

2023/07/01

淀川での鳥類調査

 淀川河川敷は干潟もあり,大阪といった大都市の生物多様性にとって貴重な空間と言えます。現在,ゼミ生が淀川での鳥類の調査を進めています。この淀川は大阪,京阪神にとって大切な流域でもあり,また大阪の中心部を流れているといったことからも,緑の軸にもなっていますし,これから大阪のうめきたでの緑の創出との相乗効果も見られるかもしれません。

 大阪のこのような「場」は,生き物だけではなく都市の「景観」としても面白いものです。この河川敷の吉原の対岸,向こう側には高層ビルディングが立ち並ぶ景観は,この吉原が緑のアクセントとなって,街の景観を作り出してくれています。こういった光景は何も大阪だけではなく,私が以前住んでいた東京でも近所にあった荒川も同じような光景を見て,都市の景観は色々と魅力的なものが見られるなと感じました。そういった都市の河川景観を見ることで,東と西で場所は違いますが,何かしら同じような景色を見ているような気もしてきますので,不思議です。

 また,河川での生き物に目を転じてみると,様々な鳥類を始め,甲殻類,貝類,昆虫類などが多くみられます。淀川河川敷に置いての生物多様性を垣間見られるようです。大阪市における緑の軸の一つに選んでいるのは,正しいと感じられるものですし,私たちにとって大切な緑の環境だと改めて思うところです。

吉原の草原のようです