2013/07/29

夕方の賀茂川の河面

 北大路大橋から北側夕方の光景です。とても美しく,少し眺めていました。カメラを持っていることを思い出して写真を撮りました。ただ,写真ではうまく表現できません。私の写真の腕も問題があるのですが,本当はもっと鮮やかな紅色で,空と河面の美しさが写真では表現できていないのです。その発色の出ていないことがとても残念です。

 私は,景観の調査をしていますが,写真やVTRではどうしても伝わりにくいものだといつも思っています。「写真」はある意味,私たちの見る本当の景観とは「乖離」せざるを得るものと思うからです。写真といった媒体では,その景観や風景がある程度,見る人に伝わるのですが,それが本当に伝わることが出来ているのだろうかと,いつも悩ましく思います。

 現場での景観を見る方がよっぽど正確かもしれません。かつて,新潟の新井頸南地域で景観調査をした際,アンケートの調査をしていただく皆さんと一緒で回り,現場を直接見て答えてもらいました。やはりその時のことを考えると,説得力は目の前の「本当の景観・風景」を見てもらうことだと感じました。

 では,「本当の景観・風景」とは,何だろうかとまた別の尺度が生まれてきて,悩ましいものです。

ほんとうはもっと鮮やかなのです

2013/07/20

祇園祭と日本酒

 山鉾巡行も7月17日に無事終わり,京都の町中も普段のような環境に戻ってきました。これから益々暑くなる時期になります。写真は,山や鉾が建つときに町中を歩いているときに見かけた光景です。日本酒の樽が並び,京都,日本らしい光景だと思いました。日本酒は,国家戦略の政策でも國酒を推進しましょう(Enjoy Japanese Kokusyu(國酒を楽しもう)」プロジェクト)と言われていますし,奉納する際には欠かせないお酒にもなっています。祇園祭にはとても似合っている光景だと思いました。日本酒は伝統が長く,日本を代表するお酒ですし,祇園祭も日本を代表するお祭りです。これらは,日本の文化や伝統が作り出しているともいえるのではないでしょうか。

 特に,京都市では,乾杯の際は日本酒でとの条例(京都市清酒の普及の促進に関する条例)もあることですし,伝統的な京料理などの食事にも供されやすいものであるので,奥の深い飲み物だといえます。また,伏見など日本酒の蔵元も多いことから,京都は日本酒と縁が深い町です。そういった点を踏まえてみると,町中にあるこの樽は,山や鉾の横にあるものの,存在感ある「日本酒樽」だと思えます。町家景観,祭り環境の中の大きな要素です。ふと見る景観の要素の中にもたくさんの意味が含まれます。それらをゆっくり紐解いていくと歴史性やその思いなども見えてきます。ランドスケープを学ぶ上で,物を見つめていくことは大切ですね。

町中に樽が並びます

2013/07/12

嵯峨野の水田での鳥類調査

 この時期の調査では,現地に行くまでが大変です。特に太陽が照る時間帯だとなおさらです。今日は調査指導でゼミ生と一緒に行ったのですが,夜が明ける前に出発しました。というのも,鳥類調査は明け方から始めるからです。現地には太陽が昇る前に行くことが多く,調査は始めの時間帯は快適に進められます。調査が終わり,大学へ戻るときには既に太陽がさんさんと輝き,暑さが恐ろしいくらいに襲って体力が疲弊します。自転車で戻るのですので,なおさら実感です。

 この広沢池の周辺水田へは,大学がある北山キャンパスから,自転車で約1時間ほどかかります。1時間かけても行く価値は十分あります。それは,この現場が京都市内の中でも豊かな水田と畦,畑地などが混在した魅力的な空間だからです。鳥類にとっても恐らく良い空間なのだと推察しています。現在,この暑い中,自転車で通って頑張っているゼミ生の水田調査もやっと半ば。この鳥類データから今後,何が読み取ることの出来るのか楽しみです。
 
明け方から調査です


 

2013/07/10

暑さを見る

 北山キャンパスの中も急激に暑くなりました。今週からやっとニイニイゼミの声がそこかしこで聞こえるようになってきました。7月から祇園祭も始まり,京都特有の暑さがじわじわと来ているのを住んでいて実感します。このような時期に外へ出るとくらくらする暑さの到来です。この北山キャンパスは京都中心部の北部にあり,京都駅前の七条や四条河原町の繁華街に比べると幾度か低い気温なのですが,それでもこの暑さは身に沁みます。

 暑さの体感は,私たち人間だけではなく,鳥類にとっても厳しいのは変わりありません。キャンパスにいるハシブトガラスやシジュウカラ,ヤマガラ,スズメなどは,常時くちばしを開けて何とか体温を下げようとしているのを見かけるようになってきました。汗をかけない鳥類にとっての体温調節は中々,厳しいものがあるようです。観察しているとなんだか気の毒になってきます。暑さが見えるような気がする光景です。
 
黒系の色なので余計に暑そうです。
 

2013/07/01

生産緑地での鳥類調査

 都市やその周辺においての生産緑地の空間は,「農」の単なる生産のための空間としての価値だけではありません。緑の容量を維持する役割,無秩序に進行する都市化・住宅化の波を止める防波堤の役割も挙げられます。が,それだけではありません。役割の大きな要素の一つとして,都市生態系,生物多様性のための重要な役割も担っています。

 今回,そのケーススタディとして,生き物好きのゼミ生の一人が高槻市の生産緑地にて生物調査を始めています。生き物の中でも鳥類を調べ,その都市生態系,生物多様性の価値を出すことが出来ればと考えています。調査に同行しましたが,この調査地である高槻市は,良好な都市緑地の空間が残っており,大都市にとって非常に貴重な緑地の空間といえます。ある意味,奇跡的に残っている緑地空間,生産緑地の空間とも言えるのではないでしょうか。この貴重な空間は,生物多様性としての価値も十分に備えていると言えますし,残す価値が高い空間とも思えます。

 大都市にとって,都市の進行(浸出の方が適語かもしれませんが)による経済的な向上は,都市の発展性を考えると重要な事ではあるのですが,目に見えづらいものである生態系,そこに存在する生態系の重要性は,もっと価値があるものと考えられます。時間を経てつくられてきた生態系の形は,非常に高い価値を持つものです。今後,どれだけの重要性があるのか,この調査地で見えてくると研究のし甲斐があると思います。
 
 
大都市の中の水田です