2012/06/28

鴨川の鮎釣の光景

 大都市の真ん中を流れる鴨川は,京都の人にとって愛着のある河川でもあると共に,都市生態系にとっても大きな動脈の役割をしています。植物園や京都府大のキャンパス,糺の森や御所など,周辺の大規模緑地と連動して大きな生態系の空間を作り出している貴重な都市河川です。

 また,大都市の中で「鮎釣り」の光景が見られる街としては,京都らしい風景,風物ではないかと思えます。このような空間は,ほかの街ではほとんど見られない光景です。京都の特徴さを表していると思えます。文化伝統だけではなく,生き物にとっても貴重な空間を維持しているこの街は,ランドスケープとして色々と面白い研究ができそうです。


京都の風物詩です

2012/06/22

梅雨の時の京都


 この梅雨の時期の京都は,夜の色が若干明るいような気がします。曇天のような雲が街の光を反射しているような感じを受けるのです。特に京都らしい細い道を歩いているときにそれをよく感じます。街の広さが,人のスケールに合っているからかもしれません。

上京区の道です

2012/06/10

賀茂川の水生生物の調査

 今年度に入って,初めて賀茂川の河川内調査にゼミ生と行きました。賀茂川は,キャンパス横なので,すぐに行ける場所なのですが,季節や河川の水量などを考えて中々行く機会がありませんでした。今回は,賀茂川の中州改修の後でしたので,その変化が気になるところです。中州改修周辺の環境では,昨年と比べると生き物の確認が非常に少ない結果で,その影響は,思ったよりも大きくあるようです。

 この時期の賀茂川には,カワムツの稚魚が大群で見られて,その稚魚に太陽がそれぞれあたり,銀鱗に反射してキラキラと見ることができます。賀茂川が生き生きとする季節の到来を告げることです。そこで今回は,河川改修をした場所と,していない場所の生き物を確認してみたところ,大きな変化が見られました。北大路橋を境に,改修を行った下流部と改修を行っていない上流部では,個体数に大きな変化が視認でも確認できたのです。上流部では昨年と同じぐらい多く見られるのですが,下流部では昨年より劇的に減少していたのです。

 中州の河川改修は,賀茂川にとって定期的に必要なことです。また,この攪乱によって,河川が新たに再生するきっかけを作ります。中州改修の際,生態系に配慮した近自然工法で土止めをしたりしていることから,自然再生への形はしっかりされていました。そういった中で,実際見て感じたのは,中州を改修した後の場所にヘドロが多く何故か堆積していることです。恐らくですが,上流部から何かしら流れて,中州改修の個所へ堆積をしたものかと思われます。そのような個所は,生き物の生息が極端に減っていました。とは言え,これは一時的なものではないかと思うのです。河川は自身で回復していく能力,自浄作用を持っています。また,この攪乱は,今まで行われてきたことですので,もうしばらくすると生き物が返ってくるはずです。

 都市河川の放置は,都市への災害を助長する場合もあり,人命やインフラにもにかかわってきます。定期的な河川の改修や攪乱は,どうしても必要なところです。生き物が生活でき,人の親水空間として活用できる賀茂川は,ほかの都市にとっても,よいモデルケースの一つではないでしょうか。

調査の風景です

2012/06/03

神戸の庭園・安養院庭園

 この安養院庭園は,神戸の中でも私の好きな庭の一つです。国の名勝指定を受けている庭でもあり,そういった点を除いても,枯山水庭園の美しさを出している名庭ではないかと思っています。時代は安土桃山時代作庭と云われていますが,幾度となく,改修が入り,すべてが当時のままではないのではと思います。庭は,変化するものもありますし,同じ状態で何百年も維持できるものも,そうでないものもあります。この安養院庭園は後者になるのではと思っています。

 とはいえ,恐らく,安土桃山期に作庭されたと推測できる場所は,色々を面白い箇所を作ってくれています。そのような点を見出すと,先人たちの作庭の素晴らしさが見えてきそうです。

 どうやって石を組んで,このような深山幽谷の景観を作庭できるのか,周辺の景観を借景として上手くと仕込んでいたことから,当時の空間はもっと素晴らしかったのではないかと,色々と考えが沸き立ってきます。

 安養院の庭は,幼い頃から見ていたので,思いもひとしおです。私にとって,学生のころから,勉強になる庭の一つです。

安養院の庭

2012/06/02

神戸の庭園・成就院庭園

 太山寺成就院も,歓喜院と同じ庭師天一によって作庭されたと伝わっています。江戸後期に活躍した天一は,明石大蔵谷の住人であり,この成就院は,文政年間に天一により作庭されたものと言われています。

 やはり,この庭も歓喜院と同様に枯山水庭園ですが,現在は樹木も多くあり,落ち着いた豊かな庭園になっています。枯山水の庭園として亀石もあり,見ごたえは十分にある庭です。また,この庭には,正面にヤマモモの古木があります。作庭当時はなかった樹木と云えますが,その樹木の存在意義については,実際に見ることで色々と考えさせられます。

 庭は,樹木や時間といったものを相手にしているので,日々変化するもの,変化をしない方が良いものと,千差万別です。樹木の有る無し,どちらが良いとも言い難いのですが,答えはなかなか出てきそうにありません。

 作庭当時に戻すことは,庭師天一の見た庭に戻りますので,本来いいのだろうと思いますが,とはいえ,長い年月をかけて時間を経てきた空間の在り方を考えると,あえて抜かなかったヤマモモの存在も大きいものがあり,色々な意見が出る庭だと思いました。庭の保存を考えるうえで良い庭の事例の一つだと思います。


中心にヤマモモのある成就院庭園

2012/06/01

神戸での庭園見学会・歓喜院庭園




 ゼミ生とともに,「ひょうごの名園を考える会」に参加してきました。場所は,神戸市西区の伊川谷にある太山寺です。まず,最初に見学したのは,太山寺の塔頭である歓喜院庭園,次に,太山寺を訪れ,成就院庭園,最後に安養院庭園の見学です。幼稚園の頃から私にとって馴染深い太山寺の見学は,何度見に来ても飽きません。庭は,見れば見るほど奥深いと思います。今回見学した庭は,神戸の庭の中でも美しい庭だと私は思っています。


歓喜院庭園

 歓喜院の庭は,江戸後期,庭師天一によるものと言われています。枯山水の庭園ではるのですが,今では緑豊かな庭園になっています。かつて見渡せた借景も今では面影が少なくなってしまって,残念ではあるのですが,そうは言っても美しい庭には変わりがありません。また,庭を丁寧に手入れされているのがよく分かりますので,見る人の心を穏やかにしてくれます。


 この会のオブザーバーでもあるので,ゼミ生も受け付けの手伝いをしてくれ,とても助かりました。