2023/06/23

淀川河川敷のオオヨシキリ

 淀川河川敷にはこの時期,朝からオオヨシキリ(Acrocephalus orientalis (Temminck & Schlegel, 1847))の大合唱です。早朝から院生の調査指導に行った際,河川敷に到着すると大合唱的な感じで迎えて?くれます。大阪での夏の風物詩であるクマゼミの大卯合唱ほどではありませんが,それでもこんなに四方八方で鳴いている様は,個体数の多さでしょうか。多くの人が散歩や運動で行き来するこの河川敷の横ではオオヨシキリが鳴いている。なんとも不思議な光景ですが,それがこの淀川の生き物の生息が出来る空間を担保しているとも考えられますし,上手くこの緑地空間を残しているとも言えます。

 オオヨシキリの観察をしたい人もいるかもしれません。阪急十三駅から少し歩いて,朝方にこの河川敷に来てみて下さい。オオヨシキリの声や姿に出会えると思います。

オオヨシキリです


2023/06/15

京都府立植物園の鵜

 京都府立植物園には,毎日ではありませんが,カワウ(Phalacrocorax carbo Linnaeus, 1758)が飛来しています。滋賀の琵琶湖から飛来しているといったことも報告がありますので,それなりに長距離で飛来してきています。昔は京都市内でも余り見かけなかったといわれていた鳥だったそうですが,今では普通に賀茂川にもよく見かけます。どうしてそうなったのでしょうか。鳥の生息環境は,環境によって大きく変わってきます。いま私たちが見かけている鳥類も,知らない間に見かけなくなったり,気が付くと知らない間に見かけるようになったりと,そういった鳥が結構あります。それは環境が良くなったからでしょうか。環境の変化によって左右されている部分はあります。加えて,ごはん(餌)がある(ない),天敵がいる(いない),夏鳥や留鳥なら繁殖の場所がある(ない),危険な環境である(ない)などといったことが積み重なっての生息環境です。

 私たちの今いる環境は,私たちにとって良い環境なのか,それが鳥たちにとっても良い環境なのか,改めて考えてみる必要はあるでしょう。このカワウ君,人を見ても,あまり逃げるそぶりはなく悠々としています。ですので,此方も脅かさないで,少し離れての観察です。中々,精悍な顔つきをしていますね。

此方を見るカワウ


2023/06/12

西賀茂での鳥類調査

 現在,研究室のゼミ生が鳥類の調査をしています。調査の場所は,京都の生産緑地の農地を中心に進めているところです。ちょうど鳥類の繁殖期にあたるこの時期には,夏鳥も飛来していますし,様々な鳥類が活発に行動している時期になるのです。ただ,ここ西賀茂界隈では,期待していた夏鳥は,少なく,とはいえ,ツバメが多く確認出来る感じですので,初夏から夏の光景を目にすることが出来ています。そのほかの鳥類を見ると,確認の多くは都市型の鳥類調査になっている感じです。

 京都市は街の真ん中の商業地域が中心に動いているように思えるのですが,ここの西賀茂や岩倉をはじめ,少し移動すると京野菜などを栽培されている場所が多くあり,農地と住宅が近しい間柄になっていると思います。私の地元神戸でも郊外に行けば豊かな田畑がありますが,京都の様に近接した感じではありません。すぐ近くに田や畑がある環境は,地区,地域の生物多様性にも大きく貢献しています。また,京都の人にとっても,この生産の場,空間を大切にしているからこそ,他の都市の様に都市スプロールによる変化が少ない(洛西ニュータウンや桂の空間は,大きな変化になっていると思いますが・・・)と言えるのかもしれません。

 地産地消もあることから,農産物の移動も地元消費で,それなりにあると思われます。実際,私の家でも西賀茂産野菜を週に3回ほど持ってきてもらっているぐらいですし,周辺のおうちでも幾人かの農家さんが,移動販売をしている光景をよく見るからです。これは京都らしい情景なのだろうと思いますし,農地の維持にとても役立っているのではないかと思うところです。こういった環境が今後も維持して欲しいと願いつつ,今この時点での生き物の状況はどうだろうかと思ったゼミ生が,鳥の調査を進めています。京都市にとっての生物多様性の在り方を探る大きな調査かと思うところです。

調査中です