2022/11/30

晩秋の光景

 賀茂川の晩秋の夕刻光景です。夏や冬の直線的な光の中とは違って,晩秋に向かって光が少し柔らかくなる気がします。色も柔らかくなるような気がしています。特に夕方の光が夜に向かう少し手前の時間,夕刻といった方が良いかもしれませんが,もうすぐ夜手前の柔らかい光の時間です。賀茂川の中州に見られる植物の揺れも光と江風に吹かれてゆらゆらしている様は,思考を停止させます。私はこういった光景が好きです。

 こういった光景を緑地設計することができるのだろうかと考えますが,空間を設計し,その空間における装置は出来ても,自然の不確定さを取り込むのはとても難しいことに気づきます。これは,人の自然に対する傲慢さかもしれないと感じます。世の中に色々な設計が見られますが,思考が止まるぐらいの空間は,どれだけあるのでしょうか・・・。

夕刻


2022/11/16

スズムシの観察地

 スズムシ等の観察地と書かれた高札がありました。場所はというと隅田公園です。「鈴虫」は季節が分かり易い秋の虫でもあり,多くの人に親しまれる秋の昆虫です。スズムシの鳴く声の聞こえる隅田のこの空間は,私達への季節感を提供してくれているようです。江戸の人たちもその四季折々を生活の中で感じ取っていたと思いますし,歌川国貞の「秋の夜 虫ノ音聞図」にもある様に,何かしら風情を感じます。それが現代においても,虫の音を聞くことに少しでも続いていることは,日本の四季を感じられるという事にもなります。この造られた観察の空間は,さほど大きな空間ではありません。ですが,小さな空間であっても鳴声のイメージは大きく広がるのではないでしょうか。

こじんまりとしています