2017/08/07

賀茂川の中州とカルガモ

 大学の横の北大路大橋の上から北山方向を眺めると,カルガモ(Anas zonorhyncha Swinhoe, 1866)を多く見かけるようになりました。現在の北大路大橋のふもと辺りの中州を取り除き,平たい水辺空間になっている箇所になります。カルガモたちののどかな光景です。以前あった中洲はヨシなどの植物による緑の島と水の環境のバランスが良く,中州周辺では,イシガメやクサガメの産卵場になっていたり,鳥類でもヨシが少し生えている箇所では草地系の主が何種も見られたりと河川生態系として面白い環境を提供していました。今年度は,北大路大橋と北山大橋区間で中洲が完全に撤去され,中州が無くなった分,水面の面積が増えました。数年前には北大路大橋の下流部で中州撤去が行われ,現在はまた中州が戻ってきていますので,恐らく同じ状態にいずれ戻るでしょう。中州撤去は大雨等による賀茂川の氾濫の可能性もあるため,人命優先を考えると定期管理として必然且つ必要なことです。いずれまた土砂堆積することで,今いなくなった生き物も恐らく戻ってきます。必要的な人為的な定期攪乱といえます。
 
 さて,そういった中で最初に多く見られたのがサギ類とこのカモ類であるカルガモたちです。単に池の様に水面の面積が増えたためカルガモが増えたのではありません。大量にパンの耳をもって与える人がいるようで,カルガモたちはそれを目当てにどうも集まってきているようです。今年生まれたと思われるカルガモも多く見られ,常時20羽程度見かける事が多くなりました。この光景,実はいびつな状態だと言うことにもなります。適正な餌の分量を越えているようですので,ノゴイ(野鯉Cyprinus carpio (L. 1758))もこの水面で多く集まっています。これとは別に,子供たちが鳥や魚たちを観察している光景も見ますので,こういった面も考えると色々と都市の中にある京都の自然の豊かさを様々な角度で考えさせられます。鳥と魚が集まっている光景,人と生き物・自然との共生を考えていく上で難しい問題です。
 
賀茂川のカモたち