2022/08/17

山椒山公園と石

 イサムノグチ庭園美術館横にある公園です。ノグチのイサム家の横あたりにある公園ですが,周辺の石積みの景観と,公園の石の配置,石を主体にした空間に見えてきます。

 牟礼の石の公園は地域に合った公園に見えます。地域,地域に色々な公園がありますが,公園設計での地産地消に近い素材選びやデザインは,私たちが考えるよりも難しいものです。ここ牟礼は石の山地ですし,多くの石工さんもいます。この公園に行く途中でも多くの石屋さんが幹線道路沿い有ったりして,石の町だと実感できます。

 そういった環境だからこそ,公園での大胆な石の配置は見ていて面白さを感じます。石も徐々に風化し,その形状も出来た時に比べて変化することを考えると,空間に馴染んでいくような気がします。路面などのメンテナンスは必要でしょうが,大きな石はそうそうメンテナンスが必要ないと思いますし,割れなければ危険性も少ないのではと思うと,経年の違いを楽しめる公園になっているのではないでしょうか。

 地元の石材を使っての公園の空間づくりで,ここで遊んだ子たちが次の世代になった時,同目に映るのでしょうか。それはそれで楽しいといった視点になってくれるのかもしれません。長く続く公園の在り方を考えさせてくれる山椒山公園です。

石と空間

石と道


2022/08/03

屋嶋城と城門跡

 高松の屋島山にある屋嶋城(やしまのき)を見てきました。ある山城の整備に関わることから,築城年代は全く違いますが,整備の参考になるのではと思って見に行ったのです。天智2年(663年)の白村江の戦い(はくすきのえのたたかい)の後に,国号も倭から日本に変わった政治的という大きな転換の時期に,作られた城です。石垣の形状復元には緩やかな傾斜があり,私たちが見慣れている近世城郭とは違った形状に面白さを感じます。古代の城の形状をしっかり見ることができるのは,とても勉強になりました。この城の形状を持て思い出したのが,首里城です。30年以上前の浪人の時,沖縄を訪れて首里城を見学した際,石垣の美しさに感動しました。緩やかな曲線を作り上げた石垣のデザインは,いま見ても綺麗に感じます。この屋嶋城の石垣は新しく復元されたとはいえ,やはり綺麗な曲線を形作っています。こういった城郭が四国で見られるとは思いませんでしたが,古代の城の面白さだなと感じました。

 この屋嶋城の位置は,高松,瀬戸内を一望でき,城郭としての機能を良く考えて配置されたと感じます。そして,この地に散在した石たちから,良くここまできれいに復元できたものだなと感心します。教育委員会や担当した先生方の解析や分析,石の設置についても大変な時間と苦労があったのだろうとつくづく思われます。山腹にある城ですので,当時,築城した人はもっと大変だったことも偲ばれます。

 この屋嶋城は整備のよい事例かと感じましたし,今後関わる史跡整備についての参考にも十分なる整備と思いました。

高松が一望です