2011/06/17

京都の壁面緑化

 壁面緑化や屋上緑化は、ランドスケープをしている者にとって重要な研究テーマのひとつになります。特に、都市の気温の上昇などの対応に「緑」を活用することは、ランドスケープデザインへの必要な要素ともいえます。中でも壁面緑化は、現時点で良い点、悪い点は色々とありますが、それでもまだまだこれから発展できる余地の高いものです。

 名古屋で開催された万博会場で色々と示されてもいましたが、それ以降、街の中でさまざまな壁面緑化の施工が進められてきました。デザインは、ほぼ同じものが多いのですが、それでも改良されつつ進められているのが見て取れます。東京都心部では、その事例が数多く見られ、デザインや設置が多彩です。京都ではどうでしょうか。

 烏丸御池にある新風館には、一部壁面緑化を施したものがあります。ナデシコなどの花を加え、見た感じは少し柔らかい雰囲気を持った壁面緑化です。京都の中心部にこのような壁面緑化はまだ少なく、良い実物事例のひとつだと思います。近代建築の新風館と、この壁面緑化された空間は、思った以上に相乗効果を作り出していくのではないでしょうか。現在、商業施設であるこの場所へ訪れる人へのよいアプローチ空間を作り出しているような感じを受けますし、実際訪れる際に、この場所を通ることは、気分が和らぐものになっています。

 単に都市内での温度の問題だけではなく、心理的緩和への効果、そして緑をつながることができれば、生き物のコリドーやパッチの役割も極小ながら可能になると考えられます。今後様々な活用性を開発することができ期待できる「壁面緑化」です。

新風館の壁面緑化
壁面緑化の植物たち