2022/12/23

冬の青野山の景

 島根県津和野町に天然記念物で名勝に指定されている青野山(標高907m)があります。現在,そこの保存活用に携わっているのですが,優しい雰囲気を持つ山で津和野の歴史ある街並みの中の至る所から眺めることが出来るお山です。町に住む人にとっては,青野山が有って当たり前でしょうし,遠くから戻ってきた人にとっても,街並みと山の光景は,地元に戻ってきたと思うのではないでしょうか。子供頃からの馴染みある光景は,自分自身の身近になっていることを感じると思います。私自身も神戸のポートタワーを見ると神戸に戻ってきたと感じるのと同じだろうと思うのです。

 この青野山は,日本遺産の津和野百景図の絵図にも「妹山(いもやま)の景」として栗本格斎さんが描いており,当時から旧津和野藩でも身近な景観だったのでしょう。津和野町の駅前から気動車に乗る前に青野山を眺めていると,夕焼けに染まっていたお山が,夜の色へ徐々に染まっていきます。数日前の雪も少し残っているこの山の時間の変化は見ていて飽きません。冬山の葉の落ちたコナラの木々の光景が,またこの山の表情を美しく見せてくれているようです。山は登っても楽しいものですが,景観として見る山もまた楽しいものです。青野山をこれからどう保全していき,活用に持って行くのか,難しい問題だなと思いながらも,この時はその難しいことを考えずに,時間の景観を楽しみました。

時間の移ろい

コナラも落葉しています


2022/12/19

大阪のユリカモメ

 大川(旧淀川)の八軒屋浜船着場にいるユリカモメです。綺麗に並んでいます。そして,見るからに寒そうです。この日の気温は,風も有りましたので,体感温度もだいぶ低かったこともあり,人もユリカモメも皆,寒い中での野外でした。私の職場横にある賀茂川,北大路大橋近辺には,ユリカモメはまだ来ていないようですが,この大川の船着場では,今の時期,多く見られます。そういえば,私が大阪の中之島近辺で鳥の調査をした時,1990年代の終わりでしたが,ユリカモメはさほど多く見かけなかった記憶が有ります。私の所のゼミ生が201412月に大阪中之島とその周辺で調査した際には,今回と同様にユリカモメが多かったことを思い出しました。この時は,お店の窓から余ったパンの耳を投げている人を見たので,ユリカモメが多く集まっているのはこのせいだなと感じました。この最近では,ユリカモメの飛ぶ風景が大阪の街の風物詩の様に毎年見られます。水都大阪に相応しいような,いびつな都市の生態系の構造になってしまっている・・・と難しい問題を孕んでいるなと感じました。

 今回は八軒屋浜船着場といった場所ですので,どうして多いのだろう・・・。と思っていたのですが,船着場から乗船したあとに,騒がしくなったユリカモメたちを見ると,やはり少し餌をあげている光景を見かけました。生き物にとって,ごはんが有る場所,休息できる場所(安心できる場所),繁殖できる場所,天敵が居ない場所など,幾つかの点が重なってくると,そこに集まってきます。

 都市に生き物がいることは,人にとっても良い影響を与えると思っていますし,そういった研究成果も幾つも出ています。また,生物多様性の観点を考えていくと,様々な所で生息していることも良いとも言えます。しかしながら,人がいる生活圏での,バランスを考えると,何処まで人が介入していくべきか,何処まで人が関わっていくべきか,難しい問題が山積しています。人が介入することで正になったり,負になったりと,難しい問題です。研究では,中々解決できない項目とも言えますが,少しずつ解明できればと思うところです。やはり,無味乾燥な空間での都市生活は楽しくありませんし,潤いのある都市生活のためにも,生き物との程良い距離感を探っていかなくてはいけないなと,感じています。

整列。


2022/12/07

初冬のスズメ

 127日は大雪の日ですが,洛中では半分以上の葉が落ち,冬支度になってきています。職場の下鴨キャンパスでも,タイワンフウだけが今盛りに美しく紅葉しているのですが,多くの落葉樹の葉は落ちています。とはいえ,全てが落葉している訳ではなく,まだ写真の様に一部のモミジは赤く染まったままのもあります。京都の紅葉はまだ2週間ほどは楽しめるかもしれません。今年は思ったよりも紅葉が早く,すぐ終わるのではないだろうかと思いましたが,例年どおりの季節感です。

 紅葉に少し膨らんだ福良スズメは,面白いなと思ってシャッターを切りました。晴れの寒い日でしたので,スズメもだいぶ膨らんでいます。大寒を過ぎて益々寒くなるとスズメたちも益々膨らんでいきそうです。ちょとした光景ですが,生き物の状態を見るだけでも季節感が分かりますね。

モミジとスズメ


2022/12/02

晩秋のシジュウカラ

 晩秋というよりも冬に近い日の府立植物園でのシジュウカラです。一生懸命落ち葉の下を探っています。人が近くいてもほぼ何食わぬ顔で自分の作業に没頭しています。シジュウカラは私達の身近に生息している都市型蝶類ですが,声も綺麗ですし,色も光の加減で色々と変わり,見ていて飽きない鳥です。植物園には,これからシジュウカラだけでなく,ヤマガラやコゲラなどが混じって動き回る光景が見られます。カラ類の混群と言われる行動です。一気に幾つかの種が見られますし,なんとも賑やかに動き回る光景は,見ていて飽きないものです。声,色,動き,忙しく動いているのですが,それはそれで見ていて楽しい光景です。

餌探し