2011/10/28

京都八坂の交差点

 八坂神社から見る四条の通りです。京都らしい景観の一つです。八坂神社は、観光地としては有名ですし、国内外の観光客の人たちにいつもあふれています。この八坂神社の門の両側には青銅製の獅子が睨みを利かせています。二頭の獅子の雰囲気が、この交差点に欠くことのできない要素を生み出し、通りへの重厚さを醸し出しているようです。

 街中の景観要素を丁寧に見ていくと、様々なものが見えてきます。写真では中々表現が難しいものですが、スケッチなどの絵を描いていくとその要素が急に見えてきます。「観察」してそれをそのまま描くというより、描くものが色々なベクトルで増幅されていくのかもしれません。

 ランドスケープデザインをするのに、スケッチなどの絵を描いていくことは大切です。観察することが、新たな要素を見いだせるきっかけにもなり、その空間の良いところ、悪いところが見えてきます。これからランドスケープを学びたいみなさんへは、ぜひ「観察する」大切さも身に付けてほしいと思います。

夕刻の八坂界隈

2011/10/27

京都の通りの内路地


 家と家の間に道があり、そこが屋根に覆われて奥にさらに家が何軒かあります。京都の内に入る路地は、街の入りこんだ場所に見られるものです。そういった奥での家は、居住や店舗として活用されています。京都らしい町の空間を作り出しているものの大きな要素です。

 写真もその一つですが、通りから入る光が差し込むようになっているので、きれいな空間になっています。路地には、石が敷かれて、その石の上に掃除した後の水が残り、光が反射する光景は、すがすがしく、きれいな空間を作り出してくれています。

光が差し込む内路地

2011/10/25

京都洛中の街路樹調査


 学部生と院生の研究室ゼミ生による街路樹の調査に行ってきました。調査者のゼミ生は、卒業研究に向けて頑張って調査しています。京都の街路樹の主要な四つの通りの樹木状況を調べ、その調査の結果と鳥類との関係を調べようとしているものです。朝から夕方前までかかりました。京都は歩ける街ですが、さすがに多く歩いた気がします。

 街路樹木を改めて見ていくと、京都らしい街路樹のある通りと、そうではない通りが見えてきます。今後、この街路樹の調査したデータが、造園系の仕事などに活用されればと思う次第です。

調査の風景です

2011/10/23

京都の和菓子 三色おはぎ


 前回に引き続き、和菓子のお話しです。京都の東山方面へ行くと、引き込まれるように入る甘味処のお店があります。そこでは、「東京御膳志るこ」か「三色おはぎ」、「亀山」などを頂きます。坂道を歩いて行くとあるお店ですので、ちょっと疲れた時に甘いものは理にかなっているようです。

 お店は大正初期に建てられたお店で、今でもそこでご商売をされています。お話を聞くと色々なエピソードがあり、歴史の長さを実感します。おはぎは美味しいです。このお店の味は、私が子供の頃に食べたのと同じ味で、すでにそのころから30年以上たっても同じなのは、ほっとします。

 京都にはお店のお菓子の味だけではなく、その建物や歴史が、味を添えていると思いました。それだけに奥の深いものなのでしょうね。

三色のおはぎ

2011/10/22

フラワーロードの通りの灯り


 三宮のフラワーロードの夜景です。夜景というには少し早い時間かもしれませんが、秋も深まり、漆黒な空間が広がりつつある時間帯です。それにあがなうように百貨店などの商業施設や街灯、車などがこうこうと明かりを燈しています。

 街をデザインするときに考えることは、『ひかり』の存在です。光の有り方によって、街の雰囲気や空間も大きく変わってきます。街の地形、ビルの高さ、車道や歩道の幅など、様々な要素を考えて光の配置を考えていくことが大切なのだと思います。昼間の街の顔も大切ですが、夜になった時の街の顔も大切です。このような夜になったころの時間帯に街中を歩くと、街中の光の配置が、ランドスケープの中でも大切な項目の一つだと実感させられます。

 今、住んでいる京都の西陣ではどうだろうかと改めて見てみました。路地や長い通りの灯りは蛍光灯や水銀灯です。先日、上七軒でガス灯が燈されたと聞いて、神戸ハーバーランドのガス灯を思い出しました。ガス灯は、ほのかなブルーで温かみがあります。そう考えると、ガス灯の色ではないものの、西陣の通りの淡い色の蛍光灯も昭和のようなノスタルジックを醸し出していて良いのかもしれませんね。

フラワーロードの灯り

2011/10/19

二条城の夕暮れ風景


 夕刻に堀川通りから二条城の櫓を見た風景です。太陽が沈みかけて、空の色が徐々に変わってきています。今、二条城では、お城まつりが開催されていて多くの観光客の方が来城されています。その喧噪も少し残している中での夕方の風景です。

 風景や景観には、一瞬が美しいと思うことが多くあります。それをどう切り取るのか…。研究での大きなテーマです。

二条のお城の夕方風景

2011/10/18

鴨川の水生生物調査

 早朝に鴨川の水生生物の調査をゼミ生と一緒にしてきました。ウェーダーを着ての調査です。このところ、気温が低くなり、同じくして水温も低くなっています。鴨川の流れは、数日前の小雨で今日は若干早く、水量も多いような気がしました。

 川の水の中には、カワムツの子供の群れが多く見られます。大きさはメダカより小さい個体が多く確認できました。夏場に多く見られたヨシノボリは、小さい個体のみ流の少ないところで見ることが出来ました。

 カワムツなどの子供たちがたくさん見られ、いよいよ晩秋に向かうのだと思え、冬に向かいつつあるような気配を水の中は感じます。夏場の生き物の賑わいがだいぶ無くなってきているのを実感しました。

朝の鴨川

2011/10/14

京都の和菓子 粟餅

 京都へ移り住んで、「和菓子」を食べるのが多くなりました。神戸や東京にいるころから、私にとってのお菓子と言えばケーキなどの「洋菓子」が多かったのですが、京都ではやはり和菓子だと思ました。とにかく和菓子屋さんが多いのです。神戸でのケーキ屋さんが多いのと同じ感覚を覚えます。

 和菓子でも色々な種類があり、歴史や伝統を感じさせるものが多くあります。長い時間をかけて形を変えずに維持されているお菓子は、色々な意味を持っているそうです。写真のお菓子は、粟をつかったお餅です。神田で粟ぜんざいを食べたことがあるのですが、東京と味と何となく似ています。どちらも歴史があり、街の人たちが慣れ親しんでいるものだと感じました。

 お菓子一つにも色々な意味を持っていることは、興味深いことです。なにかしらの研究テーマになると、京都に住んで以来、思っています。いつか研究成果を出す機会があればとも考えているのですが、食べることが主になりつつあるので、それはそれで、私にとって問題が多いようです‥。

粟餅

2011/10/11

烏丸御池の街路樹

 烏丸御池の街路樹の中に、樹皮が真っ白のスズカケノキがあります。京都では二段階剪定をしていますが、この場所にあるスズカケノキは、今までとおなじ一回剪定をされているのです。この横には、ユリノキがあり、それらの樹には、まだ葉が付いています。烏丸通りのスズカケノキは、この時期、完全選定されているのですが、この木だけ樹皮がきれいにはがれてしまい、真っ白で、なんとなく変な違和感を覚えました。

 この木のある横は、建築工事されており、白い防音板で囲っていることから、白が際立って樹木にも映ってくるのです。ここだけが浮いたような空間を持っていることは、面白い光景です。街の中の空間を見ていくと、面白いものが見えてきます。単に意図してされている訳ではないのでしょうが、思わぬ構図が、街のアクセントになる場合があります。街路樹木の面白い例です。

樹皮の綺麗なスズカケノキ

2011/10/10

東京での室内緑化と椅子の空間レイアウト

 緑の簡素な配置です。単純に緑を置く、椅子を置く、ただそれだけですが、その空間の使い方が贅沢であるのと共に、設置の仕方がきれいなのです。椅子を座ると正面には東京駅が見え、光背部には緑があり、ガラスにその緑が写りこんでします。ちょっとしたデザインですが、置き方で大きく空間デザインが変わっていく楽しいレイアウトです。多分、東京だからこそ見かけるレイアウトデザインだと思います。

 椅子は、ハーマンミラー社(Herman Miller)制作、ジョージ・ネルソン(George Nelson)デザインのココナッツチェア(Coconut Chair)です。この椅子が置かれていることも大きなレイアウトのポイントと思いました。この椅子は、座ると奥が深く、かつ、ゆっくりでき、デザインもさることながら休息に適した椅子と思います。

 この椅子は、私も欲しい椅子の一つですが、なかなか手が出ません。それは、今住んでいる京都の家に置くだけの部屋の大きさ、広さを持っていないからです。椅子は、それ自体存在感があります。その配置ひとつで空間のデザインが大きく変わるものです。このことは、室内緑化についても同様の事が云えます。緑の配置ひとつで、活きた空間になるのか、死んでしまった空間になるのか、レイアウトの仕方によってそのデザインセンスが問われてきます。

 椅子に座って東京駅を見て休息でき、さらに緑がアクセントを作っていることは、贅沢な休息の時間かもしれませんね。今、住まいしている京都の狭い家では、決して置けないので、少しの時間だけ座って楽しみました。

シンプルなレイアウト

2011/10/09

東京駅の復元

 丸の内から見る東京駅は、既にドームが顔を覗かしています。戦前の風景に戻りつつあるのです。空襲で駅舎も焼け落ち、焼けてしまった上層階のドームが、もう間もなく復元されて、美しい建築を見せてくれるものだと思います。祖母や祖父が見たこの戦前の東京駅の形が、私にどう目の中で映るのか…。そして、それを見てどう思うのか。復元完成してからの楽しみではあるのですが、祖父母から何度も聞かさせられた、その当時の丸の内の雰囲気を思いはせめぐらせそうな気もします。

 文化財の復元には、もとに戻すこと、そのままで残すことなど色々な復元方法があります。最近落ち着いたような気がしますが、例えば、城郭、大書院の復元もその一つです。その土地の文化財の復元を進めていくことは、全てではありませんが、ある程度良い取り組みではないかと、私は考えます。それは、子供たちを初め、今まで目を向けなかった大人たちにも地域の歴史に目を向けることが出来るからです。みなさんの目に映る光景は、どういったものでしょうか。学生たちには、その光景がどう映るのか聞いてみたいと思います。

丸の内から東京駅を見た光景

2011/10/07

京都の町の通りと電線

 京都の町中を歩くと、すーっと遠くまで見通しの良い通りがたくさんあります。私はこの光景を見ると京都らしい空間だといつも思うのです。狭い道路でもそのまま長く通っています。これは、碁盤の目のような通りを実感できるものです。中でも夕刻の景色が美しく好きなのですが、昼間では、遠くの町家がはっきり見え、空間として楽しい景観を私たちに見せてくれています。

 町の通りには電線と電信柱が、景観の面白いアクセントとして風景を創り出しています。とても見ていて楽しみのある景観です。私は、この電線や電信柱のある風景も捨てがたいと思いました。これは、絵になる風景の重要な素材の一つだと思います。

 町並みの景観は、その町の存在感を見出すことのできる重要なものです。京都にいる間は、ゆっくり見て行ければ思います。

京都の通り

2011/10/06

万博公園の鳥類調査・ハシブトガラス

 万博公園へ越冬期の鳥類調査に行ってきました。これからしばらく万博公園通いが定期的に続いていきます。万博は、吹田市にあり、生き物の豊富な緑豊かな空間です。学生の頃より調査に出向いていましたが、1999年の頃より、万博の森が豊かになっているような気がします。

 今回の調査で最も多く見られたのはハシブトガラスです。写真に見ても分かるように、訪れている子供たちよりも、なんと個体数が多いのです。なかなか面白い風景でしたので、つい撮影しました。

ハシブトガラスと子供たち

2011/10/05

夕刻の明石城の堀と景観

 明石城はJR神戸線の明石駅の北側に位置しています。駅のホームからきれいに見える白漆喰の2つの櫓と塀、石垣が印象的な城跡です。その明石城には城南側に堀があります。この堀を夕刻に東隅から大手門方面へ見ると、とても美しい風景がそこにあります。

 現代の明かりと江戸期の堀。ミスマッチな感じを受けますが、非常に美しい景観を醸し出しています。意図的に建造物、構造物を見せているわけではないのですが、見せ方次第では色々とデザインの視点を考えさせてくれる景観です。ちょっとした景観の様を見ることも、デザインや景観を学ぶ学生さんたちにとって重要なことだと思います。

 机上で多くの事を学ぶのも大切ですが、景観や風景に接していくほど、現場に行ってその空間に接することやその物を見ることの大切さを再認識させてくれます。

明石の堀

2011/10/04

博物館と遺跡と緑道

 兵庫県の瀬戸内側に播磨大中(おおなか)遺跡があり、そこに兵庫県立考古博物館があります。博物館は、屋上緑化と壁面斜面緑化がされており、周りにある緑の空間と調和しているようになっています。また周囲には、弥生期の竪穴式住居も復元され、訪れる人にとって色々なイマジネーションをかきたててくれる場所です。古代と現代が織りなしている空間と言えます。

 JR土山駅を下車し、南口を出ると、旧別府鉄道の線路の跡地が緑道として整備されています。この緑道を通って、博物館まで歩いて行けるようになっています。季節の良い時には、良い散歩コースにもなる場所です。鉄道跡地を緑道に緑を活用している良い例と思いますし、緑道そのものもよく手入れがされています。

大中遺跡と博物館

2011/10/03

文化財科学の集中講義

 私が教えている大手前大学の文化財科学の集中講義の一環で、兵庫県考古学博物館に学生さんたちを連れて行きました。播磨町の播磨大中遺跡の敷地内にある考古学の博物館です。博物館周辺には弥生時代の竪穴式住居の復元住居が複数見られ、学習環境としてはとても最適な空間です。授業の一環として、是非学生の皆さんには、実地の博物館での発掘遺物の取り扱いや鉄器等の化学的な取扱いを学んでほしく思っていました。毎年のように博物館の皆さんに無理をお願いしつつ、見学と講義をして頂いているのですが(いつも、ありがとございます!)、学生さんの目の色は、教室の講義よりもいきいきしているように感じます。

 大学の講義では、教室で教えることもとても大切だと思いますが、出来る事であれば、実地での演習や講義は、活きた講義として活用したいといつも思っています。大手前大学史学研究所でも演習で見学することもあるのですが、今年度は、県考古博物館にお邪魔させてもらった次第なのです。

 学生さんたちの目の色は、私の思い過ごしかもしれませんが、博物館で時間が経つごとに変わってきていると思いました。目の前に発掘された遺物の復元や鉄器の化学的処理の保存などを見ることで、色々と学ぶことが有ったと思います。博物館や美術館は、学びの宝庫です。ぜひ学生さん達には自主的に見学に行ってほしいと思います。

バックヤードでの学習

2011/10/02

西宮市の景観樹林保護地区

 教えに行っている大学の構内に西宮市指定の「景観樹林保護地区・大手前大学林」があります(最初は「大手前女子大学林」だったそうです)。面積は、約0.08haあり、大学出入り口にこんもりと樹林が残っています。市街地内にこういった樹林が残っていることは、夙川の街並み景観や自然環境にとって貴重な緑のポテンシャルです。この樹林は、この地区の美観を損なわせない、よい緑の空間の事例でしょう。

 大学の周辺にも緑が多く見られ、近くの神社をはじめ夙川公園のような大きな緑の空間も街中で見られます。これは、この街に住む人にとって良い環境を創出していることと言えるのではないでしょうか。特に、大学構内に樹林地が残っていることは重要な点で、今後とも継続的に残っていく担保が高く、学生や周囲の人だけではなく、生き物にとってもとても良いものを醸し出していると云えます。街中の公共的な空間に緑の空間が残っていることは、これから大切にしていかないといけないものだとつくづく感じます。

大手前大学林

2011/10/01

夙川公園

 今朝、大手前大学の文化財の講義に行く途中、夙川公園を通りました。この公園は、春になると桜が美しく、西宮や夙川のシンボルのような公園です。今の時期は、緑の多い河川公園ですが、多くの人がこの公園に訪れています。早朝だったので、運動をしている人や散歩をしている人が多い憩いの空間です。この公園を通って、大学へ行くのですが、緑豊かですがすがしい気持ちになります。

 緑がある空間とない空間、加えて快適な都市河川のある空間を考えてみると、この町は良い住空間が構成されていると思われます。大都市の中で、視野の中に緑が入って来るのは幸せなことだと思うのです。そして河川があるという事も都市空間に潤いをもたらしています。京都にも鴨川のような広くて大きな都市河川があるのですが、阪神間の都市河川は、川幅が小さいものの、人の手が届きやすいといった親しみやすさがあります。裏を返せば、身近な河川が危険な空間になる可能性も高いという事ではありますが…。

 子供の頃から、こういった河川をずっと見てきているので、親しみやすさを感じるのかもしれません。

夙川公園