2013/06/26

中国での園林設計の講義

 今回,調査の折に色々とお世話にもなった浙江工業大学の建築学研究所(Zhejiang University of Technology)で,折角の機会なので,講義をすることになりました。この浙江工業大学では,現在ある杭州から紹興へ2015年頃をめどに移転するにあたって,建築だけではなく,ランドスケープに今後力を入れていきたいということもあり,講義をすることになりました。どちらかといえば,講演になるのかもしれません。タイトルは「日本的景观设计和园林(Japanese garden and landscape)」で,日本の庭の歴史を簡単に説明し,現在のランドスケープの設計についてお話してきました。

 学生さんだけではなく教員の方々も来てくれましたので,だいぶ緊張はしましたが,楽しく伝えることが出来たと思います。こういった講義の機会は,昨年末行ってきたバングラデシュでの大学講義以来の二回目なので,私自身も非常に良い刺激になりました。特に,印象的であったのは,講義後の質疑で,質問が多かったことです。熱心な質問が多く,私自身,楽しい講義で,良い交流が出来たと実感しました。また,機会があればぜひ講義をして,伝えていきたいと思いました。

 今回の大学訪問で,もう一つ思ったことがあります。この浙江工業大学のキャンパスがとても広いことです。以前,広州での学会発表で訪れた南大学も広大なキャンパスでした。どちらも緑が多く,樹木も大きく,とても快適なキャンパス空間でした。学生さんたちにとっても,良い研究,学習環境だと感じました。



 
入口は立派で大きいです

緑の多いキャンパスです
 



2013/06/24

中国での園林・个園


 揚州市の个庭は,中国での四大庭園の一つと言われ,江南を代表する庭園です。石の配置が複雑であり,四季假山ともいわれるように四季を現したつくりをしています。また石の材もそれぞれ違っていることから,見どころの多い庭と云えます。この庭の築山は人が歩くことができ,まるで迷路のような,岩山登山のような楽しみを見たり,体感したりすることができ,楽しさのあふれる庭になっています。石の築山の中には石橋を配しています。石の状況,石の性格をうまく活用した揚州随一の庭園です。



二階より眺める
築山の中に石の橋





2013/06/23

中国での園林・何園

 揚州市にあるこの「何庭」は,清後期に作られた私家園林で,雄大な庭園です。中心的な水心亭とそれを取り囲む回廊,その水心亭の横には池泉があり,石が取り囲む構成です。回廊は2階建てになっており,2階からも眺めることのできる空間が,何とも贅沢な見せ方をさせてくれる庭なのです。「晩清第一園」とは,まさにそのとおりかもしれません。

 この庭は,随所に美しいデザインを見せてくれます。ちょっとしたスペースをうまく使っているのです。また,見る場所によって「景」をうまく使い分けていることも,訪れる人に楽しみを与えてくれる庭です。揚州では,个園が最も有名な庭園ですが,この何園も素晴らしい庭の一つといえると思います。
 
少しの空間,景の見せ方
 

2013/06/21

中国での園林・寄暢園の庭園

 錫恵公園に隣接するこの寄暢園は,江南の庭としての代表格と云えます。石や回廊の空間配置は見事です。歩き進むとさまざまな表情を見せてくれます。築山,池泉,樹木…。康熙帝や乾隆帝も訪れたと言われるだけの豊かな庭園です。この庭園は,見ていると時間がどんどん無くなって行きます。江南の見ごたえある庭です。

表情が多岐に富む庭です

2013/06/20

中国での園林・愚公谷の庭園(錫恵公園)

 無錫市には,町の中に標高約75mの小山(錫山)があり,その場所に錫恵公園があります。この公園の中に,かつて龍と鳳凰といわれた庭がありました。鳳凰の庭の寄暢園は残り,龍は寂れましたが,龍の方は現代に修復が繰り返され,今では美しい庭に戻りつつあります。その庭が愚公谷の庭園です。現在では,多くの市民の人に親しまれている庭になっています。龍も鳳凰もどちらも見ごたえのある庭園で,時間があっという間に過ぎてしまいます。

美しく修復されています

2013/06/19

中国での園林・秋瑾故居の庭園

 紹興市にある秋瑾故居の中には,美しい庭が見られます。革命家でもある秋瑾の生活していた家につくられているこの個人の庭は,手入れの十分行き届いた庭になっています。石の配置と池の存在,そして周辺に植栽された緑の樹木。秋瑾がいる時とは,植物が違う状態とは言え,石や池の空間配置は同じと考えると,その安定感のある配置のデザインは,住んでいた人の人となりが見えてくるような気もします。

 落ち着いた私家庭園の一つです。

石の配置が美しい私家庭園です

2013/06/18

中国での園林・沈園

 中国の紹興市にある沈園の空間は,美しいハスの広がる池の庭園です。行った日はちょうど雨が降っており,それが効果的な空間を作り出していました。水面に広がる雨面の音がとても心地よい響きを出していること,その効果に驚きました。音の効果の良例だと思います。この沈園は,宋時代の特徴を出している庭園といわれており,当時の池の形状も大きくは変化していないと思われます。というのも,この沈園は,修復されている空間でもあり,当時の形状で再興しているからです。

 復元をされている庭園とは言え,忠実に修復を進め,西側の部分の発掘も行い,その復元をしていることから,宋時代の庭園形状を学ぶには良庭であり,加えて貴重な庭と云えます。


回廊から見ると額縁のよう
 

蓮の美しい池泉









2013/06/17

中国での園林・西湖

 杭州を含む周辺地域の園林調査と今後の調査の打ち合わせに行ってきました。この西湖は,世界遺産にも登録されている広大な湖の空間です。杭州に到着してすぐに見に行きました。少し回りましたがこの西湖はあまりにも広大です。夕方の光と,静かな河面の風がとてもここちよく,昔の人が多くの詩をつくったのも納得できる光景です。この空間の緩やかな時間の流れは,この地に住む杭州の人たちにとっても豊かな時間を与えてくれているのではないでしょうか。
 
雄大な湖面風景です
豊かな文化の流れを感じます
 

2013/06/12

空の色

 関西国際空港の光景です。空の色が台風の影響で秋のような空色に透き通って澄んでいます。季節感を考えても,何かしら変な感じをこの所,よく受けてしまいます。春先には秋のような感じであったり,初冬の暖かい日には,春が来たような感じになったりと,天気の光景が錯綜しているような感じを受けることが多いのです。季節感の豊かな日本だからこそ,色々な光景が見えるのかもしれませんが,今日の関空の空は,もう初秋になったのかも…と思うような好天気です。遠くに入道雲も見えるので,夏がきているようにも見えます。梅雨なのにあまり雨が降らない今年の6月です。


きれいな青空です

2013/06/11

古墳の緑地環境における鳥類予備調査

 堺にある百舌鳥古墳群は,現在世界遺産を目指しています。この古墳群は,堺市の都市の緑に多大な貢献をしています。都市の緑として,これら古墳の存在は,周辺の環境へ,より良い効果を発揮しているのではないかと考えています。そのより良い効果の一つに生き物の生息空間としての要素があり,都市部に生息する生き物にとって重要なパッチ空間と考えられるのです。ただ,この古墳の緑をどうとらえて,調査を進めるのか,これから考えていくところです。

古墳の緑は貴重な空間です

2013/06/10

京都の近郊農村での鳥類調査

 京都の北西辺りを中心として,現在,ゼミ生がこの地区で鳥類調査を進めています。調査指導で一緒に行くのですが,洛中からほんの少し離れた空間に,豊かな都市近郊農村が美しく存在しています。ここは,歴史的風土特別保存地区として規制がある地区であり,農の要素が美しく存在しています。農業用水路や田の法面,畦端,農道に至るまで美しい空間です。私が学生時,兵庫県の稲美町や神戸の農空間の調査してきた場所と比較すると,神戸市西区の空間に近い気がしました。

 こういった農の空間の存在は,今まで以上に重要になってきます。これからの生産緑地法の問題のことも考えると,生産だけではない重要性を考えることが,とても大切だと実感しています。都市の無秩序な開発の防波堤の役割を今まで担ってきたことを考え,加えて,これからの農地の方向性を考えると,生産だけではないことを十二分に理解しなくてはなりません。生物多様性国家戦略や生物多様性条約も十分対応できる空間をこの農地はまかなってくれているのです。

 そうはいっても,この農空間,久しぶりに楽しい調査フィールドだと思いました。鳥類も数多くみられ,この調査結果の楽しみな近郊農村です。

調査での木陰はありがたいです

2013/06/09

都市に流れる水辺環境での鳥類調査

 京都市内には,琵琶湖から流れる疎水があります。これは,京都市民への水の恵みを与える重要なものになっており,京都の都市環境では,無くてはならない環境要素です。現在,ゼミ生がこの水辺環境の鳥類調査を進めています。明け方から一緒にこの疎水を歩いて,調査指導をしていますが,鳥類の豊かな環境が,そこかしこに見受けられます。

 この疎水は,ゲンジボタルも生息しているのですが,調査の際,成虫が飛んでいるのを確認しました。街の中でホタルが飛び交い,様々な鳥類も見られる京都は,まだまだ自然の豊かな空間だと実感できます。

早朝の調査です。

2013/06/03

水田の調査


 京都には,南部に大きく広がった水田があります。北山キャンパスからおよそ1718km南下すると水田地帯で,かつて巨椋池のあった場所になります。今回,ゼミ生と一緒に調査のフィールド確認で行って見ました。自転車での移動はさすがに大変ではありましたが,フィールドとしてとても良い感触を得ました。

 さて,これからゼミ生と何度,自転車で行くのか,少々大変そうですが,やりがいはありそうです。今年度は,鳥類調査のゼミ生が3名,それぞれ違うフィールドなので,結果が楽しみではあります。



田に水が入り始めています