京都の町を見るとき、ほかの町と違うと思う時があります。それは、幾つもの「通り」が、はっきりと遠くまで見通せることです。地元の神戸では、余りそういった空間を見ることがないような気がします。直線の通りは、私にとって京都らしい景観の一つです。
地下から地上に出た時に、ちょうど雨が上がり、徐々にこれから夕刻に近づく前の時間、日の光が地面に跳ね返って、きらきらとしている様、とてもきれいに思える瞬間です。そして、それがしばらくすると照り返しが無くなり、いつも見慣れた道路になっていく光景になります。
これは、町の中の景観そのものの少しの変化を飲みこんで、今までの光景が虚像であったような、何事も無かったかのような時間に引き戻されていくこと。そういった空間の状態が、京都の町を包み込んでいるような錯覚も覚えます。京都では、そういったちょっとの瞬間で空間の変化を楽しむことができる町のようです。
四条河原町交差点 |