2011/07/28

竜山石の「石の文化的な景観」

 兵庫県高砂市には、竜山石を産出する地区があります。古代の頃から山の石を切り出してきたと云われています。ここは、平成20年度から文化庁の「文化財総合的把握モデル事業」で高砂市教育委員会が事業を精力的に進められてきた地域です。私は景観で関わり、以前高砂市の広報にその折の調査について文章にしました(広報たかさご2010年2月号12月号)。読んで頂いた方もいるかもしれません。高砂市教育委員会でのこの取り組みは、とてもよくまとめられていると思います。

 さて、今回、私の所の研究室の学部ゼミ生が「竜山石の採石場に関する景観」を卒業論文のテーマに多角的な視点で調査をしようとしています。まず、現場を見ることから始めていますが、この竜山石の採石場は、何度見てもダイナミックで壮大な景観を創り出しています。

 この採石場は、竜山石を現在も採石していることから、日々変化をする「生きた景観」とも云えるものでもあり、時間のデザインが大きく変わっていくものです。石の採石といった生活の中での文化を醸成した景観と言っても過言ではないと考えられます。「石の文化的な景観」といえるもと私は思っています。この変化する景観の中で、地元の方はどう日々の中で目にしているのでしょうか。また、どういったイメージをこの採石場に持っているのでしょうか。古代から続く長い歴史の中でのこの採石場の持つ意味とはなんなのでしょうか。

 今回の調査は、そういった点も踏まえながら進めていく予定にしています。恐らく、とても興味深い結果を得られるのではないかと思っています。


竜山石・採石場
過去の採石場跡での見学指導中


※採石場は、危険な場所であることから、立ち入り禁止も多くあります。写真は、採石した場所を覗き込んでいますが、安全に対して要注意しています。決して真似はしないで下さい。