この宿彌島について、子供の時の記憶をたどると、既に無人島だったことを思い出しました。かつて人が一人住まわれていたということから、「一人島」と呼ばれていたように教えてもらった記憶があります。当時、既に無人島ではありましたが、山羊が生息していました。この山羊は、宿彌島にかつて住んでいた人が飼育していた山羊です。一頭いたのを対岸から見て、覚えています。今では、もうその山羊もいなくなり、現在、釣りをする人が宿彌島へ船で渡るぐらいなのでしょう。
映画での風景で出ていた佐木島も、もうだいぶ変わっているのですが、それでもこの宿彌島は、昔と同じように見えます。映画撮影には、私自身、まだ生まれてもいないのですが、それでも映画のモノクロームのその風景と今そこに見える風景の時間の変遷が、オーバーラップし、何とも言えず不思議でなりません。映画では、モノクロームであっても、夏の暑さや海の色の美しさが伝わってきました。その撮影された風景から、今の宿彌島を眺めてみた場合、映画とオーバーラップし、色彩がある現在から、モノクロームも見えてきそうな感じを受けていきます。それほど、この映画での映像の力がすごいのでしょう。
宿彌島 |
鷺港旧フェリー乗り場 |