この元町通りは、かつて神戸でも老舗と言われているお店が並んでいました。看板や店構えのデザインセンスもそれなりに高いモダニズムなお店が数多くありました。しかし、残念ながら、今では見る影が有りません。新しいお店のデザインへの意気込みが、別の意味での個性を創り出し、見ると悲しい気がします。時代の流れかもしれませんが、神戸の元町なのに、とても残念な気がしてなりません。
昔のままが全て良いとは言いませんが、看板や店構えのデザイン、商売の仕方が、残念なことに「雑」な雰囲気を持つお店が増えています。素人の私自身も見ていても単に「お金儲け」中心だなぁと思うことしきりです。街の中の空間は、ある意味「公的(public)」なものです。お店は「私的(private)」ではあるのですが、街の顔ですからあくまで公的たるべきものと思うのです。
商売人の思いは色々あるでしょう。しかしながら、このデザインセンスの低下は、神戸らしくなく、とても嘆かわしいなあと、厳しい言い方ですが、思わざるを得ません。もちろん、通りにお店が無くなってしまうようなことになれば、街の雰囲気、賑わいも無くなりますので、「雑」なお店でもあることが良いのかもしれず、難しい選択だと思います。
とはいえ、私は、実家に戻って、元町に訪れるたびに思うのですが、ユネスコの「デザイン都市・神戸(Unesco Design City Kobe)」として、何とかならないのだろうかと思いました。元町通りは、神戸でも「公」より「私」が中心になってきてしまった例だと思いました。こういった事例は、逆に言えば、私が教えている学生さんたちに、「デザインの在り方の事例」を説明できるものといえます。私にとっては、活用できる素材ではあるのですが、しかしながら、やはり神戸の人間としては、残念だなと思わざるを得ないのです…。
元町通りのアーケード |