2011/11/21

大学院での授業・芳春院庭園見学

 昨年から二度目になるのですが、授業での芳春院さんの庭園見学に行きました(見学させて頂きありがとうございました)。こちらの院は、大徳寺塔頭で、前田家の菩提寺として有名な塔頭です。ここでは、京都でも唯一といわれるほどの江戸時代の空間が見られます。それは見てもらえば実感できると思いますが、借景に通じる周辺環境の維持がその空間を作り出してくれています。幕末ころから、もちろんそれ以前からも、刀を差していた侍の時代より景観がほぼ変わっていないことを考えると、表現が難しいですが、個人的にも、とてもわくわくしてしまいます。

 このお庭はとても美しく、枯山水に加えて、サウンドスケープとしての音の風景が見えてくるのです。「見えてくる」といったほうがよい庭です。静かに庭に対峙できれば、それはその庭と語らえるのではないかと思えるような空間に作庭されています。そういった空間で、ゆっくりと庭を眺められることは、京都府立大学の院生たちにとっても京都の大学で学ぶ醍醐味ではないでしょうか。

 日本国内でも、京都ほどに庭のよい空間は、さほどありません。だからこそ、せっかくの京都学生生活中、身の回りにたくさんある京の庭を見てほしいと思っています。この私の講義を受講している学生さんは、建築や森林、環境など多種多様の専門分野を学んでいますが、専門で「庭」や「ランドスケープ」、そしてその空間を学ぶ機会はありません。だからこそ、この講義ぐらいは、見学に連れて行って、実物を見てほしいと思った次第で、連れて行っているのです。

 今回、私が思っていた周辺景観と空間の大切さが、こちらのお庭を介して、わかってもらえたらと思っています。

芳春院の参道