2011/11/17

表参道のケヤキと建築

 東京表参道には美しいケヤキ並木があります。大正時代に植えられたケヤキもあり、この地域のランドマークになっています。日本の都心部における街路樹の美しい通りの一つだと思います。ここは、多くの商業施設もあり、歩いて楽しい空間を演出されていますが、その中でもこのケヤキ並木が地域の雰囲気を高める大きなものになっていると感じます。街路樹は、その街の顔を作ることのできるものだとこの表参道のケヤキを見ると実感させてくれます。

 道路の横にある商業・住居施設の中でも表参道ヒルズの景観は、樹木の高さを超えないように作られています。こういった取り組みは、街路樹の在り方を考えるうえで、とても重要な点です。街路樹の高さを超えない建築構造物のあり方は、ある意味、人間のスケールに近いのかもしれませんし、心地よく視野の中に入ってくると思えます。この建築のデザインについては、様々な人の意見はあるでしょうが、私は、すっきりとしたこの表参道ヒルズのデザインが、地域に溶け込んでおり、好きなデザインの一つになっています。

 デザインは、単体ではなく、その周りも考える必要があります。特に、公共的な空間ではなおさらです。この表参道は、視野に入ってくる緑の容量であったり、その樹木の高低差であったり、樹木と建築、緑と素材など、とてもよい空間を相乗効果で作り出している「場」といえるのではないでしょうか。

建築とケヤキ
建築とケヤキの高さ