2012/12/09

高桐院庭園見学


高桐院庭園見学

 学部生を連れて大学近くの高桐院へ庭園の見学に行きました。早朝から見学したので、来訪者も私たち以外、ほとんど無く、ゆっくり2時間弱見学をしました。靴を脱いで書院へ入ると、この時期なので、足の先から寒さが伝わって来ます。それでも、緋毛氈の上に正座して南庭を見ると寒さを忘れるような凛とした空気感がありました。

 この高桐院は、私が大学院生の頃、何度か神戸から京都まで調査の手伝いに来ていました。その調査は、大門から書院への「つなぎ空間」の調査で、ここに訪れるとよくその当時の事が思い出されます。

 この高桐院の南庭は、江戸初期に作庭された簡素な庭で、現在は、イロハモミジ(Acer palmatum)の庭として季節感を演出してくれます。この時期は、ちょうど落葉し、木々の幹や枝の状態が遠目でも見える時期です。院生の頃に比べると、なんだか樹の表皮に地衣類のウメノキゴケ(Parmotrema tinctorum)などが着生しているようで、そのような樹ばかりになっているような感じです。樹そのものの樹勢が悪くなったのか、もしかすると、この地の空気が清浄であることから着生を促しているのか…。古木といった趣を添えている感があり、見た目には美しくもありますが、昔の調査の時に見た樹と比較すると、なんだか樹に元気が無いような感じも見受けられました。樹にとってどうなのかは、遠目なのでよく分からないのですが…。

 少なくとも、以前よりも比べて、この紫野界隈の環境が若干変わっただろうとは思います。

凛とした空気感です