2012/12/24

チッタゴン戦争墓地

 チッタゴンの街中には、第二次世界大戦で亡くなった方々の戦争墓地Chittagong War Cemeteryがります。街の中の騒々しさから、隔離されている感のある緑豊かな美しい環境です。この戦争墓地の中に18人の日本人兵士のお墓が有り、伺いたいと思いながらも5度目のチッタゴン訪問でやっと訪れることが出来ました。

 そのお墓は、連合国の兵士のお墓から少し離れてぽつんとあり、大陸から離れた島国の日本のような感じも受けます。しかし、こんなに丁寧に、加えて公平に美しく緑の手入れをされているのを見ると、日本人として感謝の念が絶えませんでした。墓碑の前で刻まれた日本兵士の名前を見ていると、当時の日本から遠くまで、このベンガルに来て、ここで亡くなった日本兵の方の事を思わずにはいられません。日本人としての存在や、彼らに対する日本とは、祖国とは、を暫く考えていました。

 気が付くと、私の横に管理のおじいさんが立っていました。彼は、私が長い事、そこに立っているのを黙って待っていたようでした。彼に頭を下げました。丁寧に管理されていることを。彼は何か言いかけましたが、頷くだけでした。私は、ここにきて良かったと思いました。一人の日本人として改めて考える時間を与えてくれたような気がします。

 造園を学ぶ人にとって、この空間の緑の管理の仕方や植栽を見るだけでも、とても価値が有ります。花の使い方、樹の植えている位置、取り囲む樹木など、見るべきものが沢山ありました。この空間の意義や存在について、それを緑の植栽が作り出すことの一助となっており、とても実感できます。


うつくしい空間です