2012/09/08

音楽の重さ

   仕事を早めに終えて、京都市交響楽団の第561回定期演奏会を聞いてきました。今回の曲目は、珍しい曲目だと思っていました。なんとなく、重いのは分かっていたのですが、やはり聞いてみると、音楽の内容が私にとって重い重厚な曲でした。聞いていくとずんずん重くなっていく感じを受けました。このところ、仕事も忙しかったこともあったので、それと連動してしまったようです。今までないことだったのですが、全曲通して私にとって重たかったのです。特に、ペルトの「カントゥス~ベンジャミン・ブリテンの思い出に(Pärt : Cantus in memory of Benjamin Britten)」の演奏が重くのしかかってきました。重く圧し掛かってくる…つまり、演奏が感情を捉えるほど素晴らしいのです。4曲全てが重厚であり、重い空気の層のような感じを音楽で出してくれているのです。それは、たぶんすごいことだと思います。演奏者の方の力です。

 曲目自体、演奏者の方にとって、とても難しい楽曲だったのではと思いました。私は楽器を弾くことができませんので、なんとなくそう思ったのですが、聞いていて難しさが見えてくるような気がしました。言葉では、何とも難しいので、表現も難しいのですが、ここ最近では経験したことのない音楽の時間でした。演奏者の方はたぶん疲れただろうなと思います。

 2日後に出国するので、その前に、音楽で今までのくさくさした気持ちを切り替えられる・・と思って聞きに来たのが、逆に色々と考えることも多く提示されたようで、重く重く圧し掛かってしまいました。演奏後は、しばらく呆然としてしまいました。拍手を忘れるような感じです。周りの人の拍手が徐々に大きくなって、何か解放されたような気持になり、逆に重から軽へと変化した空気が、気持ちをだいぶ緩やかにしてくれたようです。音楽の力は凄いものだと、改めて実感した演奏会で、ぜひまた聞いてみたいと思いました。