2021/12/22

大阪のハッカチョウ

 綺麗な声で鳴いているなと見渡すとハッカチョウ(Acridotheres cristatellus (Linnaeus, 1766))がいました。モズの鳴きまねの様に鳴き真似をする鳥でもあるのですが,綺麗で澄んだ声で,厦門に住んでいた時をふっと思い出しました。竹で造られた鳥籠の中にハッカチョウ(八哥)やソウシチョウ(嘴相思)を飼っている人がいて,公園で鳴き合わせをしていたりしていた光景を思い出したのです。そういった光景は今の日本では,ほぼ見られない光景かと思いますが,中国ではまだそういった光景を見ることができます。鳥の飼養文化なのでしょうね。

 さて,日本でのハッカチョウは,江戸時代に大陸から持ち込まれた飼養鳥類ですが,篭脱けなどによって,とうとう今では侵入生物,いわゆる「外来種」としての方が有名です。彼ら彼女らにとっては,気が付いたら大阪で生きていた・・・という事なのでしょうが,生態系的にも見ても難しい問題と言わざるを得ません。生き物にとっては「生きる」ことが主に大切であるといえるでしょうが,その存在が他の生物にとっての脅威もあること,生息環境の競合,競争も考えると,益々複雑になっていきます。結局は生態系の事を考えて,外来種となる生き物は,生息していない方がよいという事ですが,それでも複雑な気持ちになってしまいます。

 台風等で迷鳥として皆に日本に自然渡来で来たこともあるハッカチョウたちの事も考えてみると,更に複雑になってきます。もしその子たちが定着して北上したらどうなのだろうかとか・・・。生き物の生息環境の拡大は,多々あると思います。今いる環境が悪くなれば,それよりもいい環境を目指しますし,もしくは更に拡大化して大きく生息できる範囲を確保することも,本能として必要な部分でしょう。

 さて,どうすべきなのか恐らく明確な答えは出せるのだろうかと思うところですが,哲学的な思考が入ってきてしまいます。生き物の視点,人間の視点。難しいですね。まだまだ私も明確に言えそうにありません。


澄んだ声で鳴きます