2013/09/07

北京の街・胡同や小道の「しみだし緑」

 大柵欄西街の北側にある通りの楊梅竹斜街の光景です。個人の住宅の横にしみだした緑があります。実はこれ,南瓜を植えているのです。なんともしっかりと実が出来つつありました。おそらく家の食卓に上るための家庭菜園でしょう。少しのスペースも活用している緑のしみだし空間です。良いか悪いかは見る人の感覚になるでしょう。私は,良いとも悪いとも余り考えていませんでしたが,生きている街角の空間だなとずっと思っていましたので,どちらかというと中国のこういった風景が好きなのかもしれません。

 この光景は,北京市内にある胡同(hútòng)によく見ることもできます。ただ,このところの北京は,胡同をリノベーションして店舗になったりしている場所が多く見受けられます。「活用」といった意味では良い試みです。しかしながら,今まで個人が住んでいた空間が店舗に代わっていく様は,本当にいいのか,私にはまだ即答できません。建築物が残ること,活用されることで,その場所の記憶は少なくとも形は残ります。しかし,そのことは表面だけであって,内的な生きた空間,つまり生活している空間とはその建築物が異質ものになっていきます。それが良いのかどうか,まだ分かりかねるのです。決めるのはやはりそこに住んでいる方々であるだろうなと思います。でもやはり,どういった形であれ残ることの方がいいのでしょうね。

 回答のない回答だと,ランドスケープはつくづく難しいものだと思うことしきりです。


緑のしみだし