2012/10/18

あたらしい東京駅


 今月、東京駅が復元されてグランドオープンを迎えました。辰野金吾、葛西萬司らが設計し、作られていった当時の面影がやっと見ることができました。戦争を知らない世代にとっては、このドームの無い前の東京駅が「東京駅」であったのですが、ドームのある建築の風景は、以前にもまして存在感を作り出しているようです。周辺の高層建築群が気になるところですが、東京といった日々景観が変化し、躍動している都市にとっては仕方がないのでしょう。

 祖父母の見た建築の風景と、この時代に同じ建築の風景を見ることが出来る事は、とても感慨深いです。東京で大学生活を送るために東京駅に降り立った祖父の話でも、丸の内で働いて毎日東京駅を使っていた祖母の話も、今となってこの風景を見ると時代を超えた現実性を確信できた気が強くします。多くの人がその人の経験なりに、この東京駅を見て、いろいろな風景を感じたにちがいありません。

 建築は、空間に存在する構造物であっても、その構造物が人の記憶に刻み込むほどの大きな記憶の媒体なのだと実感します。

東京駅の内部です