2022/12/23

冬の青野山の景

 島根県津和野町に天然記念物で名勝に指定されている青野山(標高907m)があります。現在,そこの保存活用に携わっているのですが,優しい雰囲気を持つ山で津和野の歴史ある街並みの中の至る所から眺めることが出来るお山です。町に住む人にとっては,青野山が有って当たり前でしょうし,遠くから戻ってきた人にとっても,街並みと山の光景は,地元に戻ってきたと思うのではないでしょうか。子供頃からの馴染みある光景は,自分自身の身近になっていることを感じると思います。私自身も神戸のポートタワーを見ると神戸に戻ってきたと感じるのと同じだろうと思うのです。

 この青野山は,日本遺産の津和野百景図の絵図にも「妹山(いもやま)の景」として栗本格斎さんが描いており,当時から旧津和野藩でも身近な景観だったのでしょう。津和野町の駅前から気動車に乗る前に青野山を眺めていると,夕焼けに染まっていたお山が,夜の色へ徐々に染まっていきます。数日前の雪も少し残っているこの山の時間の変化は見ていて飽きません。冬山の葉の落ちたコナラの木々の光景が,またこの山の表情を美しく見せてくれているようです。山は登っても楽しいものですが,景観として見る山もまた楽しいものです。青野山をこれからどう保全していき,活用に持って行くのか,難しい問題だなと思いながらも,この時はその難しいことを考えずに,時間の景観を楽しみました。

時間の移ろい

コナラも落葉しています