2022/12/19

大阪のユリカモメ

 大川(旧淀川)の八軒屋浜船着場にいるユリカモメです。綺麗に並んでいます。そして,見るからに寒そうです。この日の気温は,風も有りましたので,体感温度もだいぶ低かったこともあり,人もユリカモメも皆,寒い中での野外でした。私の職場横にある賀茂川,北大路大橋近辺には,ユリカモメはまだ来ていないようですが,この大川の船着場では,今の時期,多く見られます。そういえば,私が大阪の中之島近辺で鳥の調査をした時,1990年代の終わりでしたが,ユリカモメはさほど多く見かけなかった記憶が有ります。私の所のゼミ生が201412月に大阪中之島とその周辺で調査した際には,今回と同様にユリカモメが多かったことを思い出しました。この時は,お店の窓から余ったパンの耳を投げている人を見たので,ユリカモメが多く集まっているのはこのせいだなと感じました。この最近では,ユリカモメの飛ぶ風景が大阪の街の風物詩の様に毎年見られます。水都大阪に相応しいような,いびつな都市の生態系の構造になってしまっている・・・と難しい問題を孕んでいるなと感じました。

 今回は八軒屋浜船着場といった場所ですので,どうして多いのだろう・・・。と思っていたのですが,船着場から乗船したあとに,騒がしくなったユリカモメたちを見ると,やはり少し餌をあげている光景を見かけました。生き物にとって,ごはんが有る場所,休息できる場所(安心できる場所),繁殖できる場所,天敵が居ない場所など,幾つかの点が重なってくると,そこに集まってきます。

 都市に生き物がいることは,人にとっても良い影響を与えると思っていますし,そういった研究成果も幾つも出ています。また,生物多様性の観点を考えていくと,様々な所で生息していることも良いとも言えます。しかしながら,人がいる生活圏での,バランスを考えると,何処まで人が介入していくべきか,何処まで人が関わっていくべきか,難しい問題が山積しています。人が介入することで正になったり,負になったりと,難しい問題です。研究では,中々解決できない項目とも言えますが,少しずつ解明できればと思うところです。やはり,無味乾燥な空間での都市生活は楽しくありませんし,潤いのある都市生活のためにも,生き物との程良い距離感を探っていかなくてはいけないなと,感じています。

整列。