2021/11/22

イサムノグチの彫刻

 札幌市の大通公園には,イサムノグチの「black slide mantra(ブラック・スライド・マントラ」」が置かれています。私は,札幌に来ると必ず見ています。見るたびに,滑り台のような石の部分がすれて行っている気がして,時間の経過を感じられるようです。体感する芸術作品ですね。こういった作品の設置は,公共芸術(public art)として高く評価されるものだと思いますし,この作品は札幌市の宝物です。設置されていること,設置を決めてしっかり根付いていることに,正直羨ましく思います。そして,この作品は札幌にあるからこそ価値があるのだとも言えます。

 ランドスケープの設計の中で,こういった作品をどう置くのか,またどう活用していくのか,デザイン,構成も考えての活用が必要です。この作品はそれを上手く設置できているものだなと感心してしまいますので,つい札幌へ行くと見に行ってしまうのかもしれません。ある意味,私にとってのこの公園へ向かうための誘因力になっている力強い作品です。

 芸術作品の公共空間へ置くことについては,色々な研究もあります。カトリーヌ・グルー(Catherine Grout)著による「都市空間の芸術(ISBN4-306-07210-X)」を今は無き地元神戸の海文堂書店で2004年の時に注文して買って,初めて読んで,だいぶ公共芸術への認識が変わりました。やみくもにあるのは望ましくありませんが,やはり公園のアクセント,象徴として,またその都市の文化の醸成として必要な場合も多いと感じています。そういった点を踏まえて,意識する,しないにかかわらず,見ていくことは必要だなと感じます。


滑れます
階段です