2019/08/16

台風の後の賀茂川と植生

 今朝まで台風の関係で雨が多く降りました。そのせいですが,北大路大橋から見る賀茂川の水量が増水しています。昭和10年から昭和22年にかけて整備がされ,今の鴨川(賀茂川)の原型になっていますが,大正生まれで当時を知る人に以前お話を聞いたところ,昭和10年の水害は大変だったそうで,そこいらじゅう水浸しだったと聞きました。普段は穏やかな川で水浴などもできて子供には良い遊び場でもあるが,大雨は一変し大災害をもたらす川で厳しい暴れ川ですと言われました。今日の増水を見て改めてそう思います。今ではしっかりした治水のおかげでそういった事も少なくなりましたが,古くから京都は賀茂川の洪水に悩まされたようです。

 下鴨キャンパスはもともと氾濫原の場所で,その名残としての植生がキャンパス内やその周辺の場所での樹木に見られます。今では氾濫も無くなったので,植生自体が遷移や変化をしてきています。植物の視点からみるとまた違う答えが見えてきそうです。そう思たっときに,幾つかの論文を思い出しました。京都市内の樹木の経年変化を追いかけて調査した論文や下鴨神社の糺の森の経年変化を詳細に見た論文です。こういった研究は地誌植生史に近い研究で大変な根気と労力の賜物の研究だと思います。ご興味が有れば是非検索して読んでみて下さい。

・木村元則 他(2019)京都市街域に生育するエノキ,ムクノキ及びケヤキの30年間の残存様式,ランドスケープ研究 82(5), 697-702
・田端敬三 他(2007)下鴨神社糺の森における林冠木の枯死とそれに伴う木本実生の侵入定着過程,日本緑化工学会誌 33(1), 53-58

増水しています