2012/06/10

賀茂川の水生生物の調査

 今年度に入って,初めて賀茂川の河川内調査にゼミ生と行きました。賀茂川は,キャンパス横なので,すぐに行ける場所なのですが,季節や河川の水量などを考えて中々行く機会がありませんでした。今回は,賀茂川の中州改修の後でしたので,その変化が気になるところです。中州改修周辺の環境では,昨年と比べると生き物の確認が非常に少ない結果で,その影響は,思ったよりも大きくあるようです。

 この時期の賀茂川には,カワムツの稚魚が大群で見られて,その稚魚に太陽がそれぞれあたり,銀鱗に反射してキラキラと見ることができます。賀茂川が生き生きとする季節の到来を告げることです。そこで今回は,河川改修をした場所と,していない場所の生き物を確認してみたところ,大きな変化が見られました。北大路橋を境に,改修を行った下流部と改修を行っていない上流部では,個体数に大きな変化が視認でも確認できたのです。上流部では昨年と同じぐらい多く見られるのですが,下流部では昨年より劇的に減少していたのです。

 中州の河川改修は,賀茂川にとって定期的に必要なことです。また,この攪乱によって,河川が新たに再生するきっかけを作ります。中州改修の際,生態系に配慮した近自然工法で土止めをしたりしていることから,自然再生への形はしっかりされていました。そういった中で,実際見て感じたのは,中州を改修した後の場所にヘドロが多く何故か堆積していることです。恐らくですが,上流部から何かしら流れて,中州改修の個所へ堆積をしたものかと思われます。そのような個所は,生き物の生息が極端に減っていました。とは言え,これは一時的なものではないかと思うのです。河川は自身で回復していく能力,自浄作用を持っています。また,この攪乱は,今まで行われてきたことですので,もうしばらくすると生き物が返ってくるはずです。

 都市河川の放置は,都市への災害を助長する場合もあり,人命やインフラにもにかかわってきます。定期的な河川の改修や攪乱は,どうしても必要なところです。生き物が生活でき,人の親水空間として活用できる賀茂川は,ほかの都市にとっても,よいモデルケースの一つではないでしょうか。

調査の風景です