2012/06/02

神戸の庭園・成就院庭園

 太山寺成就院も,歓喜院と同じ庭師天一によって作庭されたと伝わっています。江戸後期に活躍した天一は,明石大蔵谷の住人であり,この成就院は,文政年間に天一により作庭されたものと言われています。

 やはり,この庭も歓喜院と同様に枯山水庭園ですが,現在は樹木も多くあり,落ち着いた豊かな庭園になっています。枯山水の庭園として亀石もあり,見ごたえは十分にある庭です。また,この庭には,正面にヤマモモの古木があります。作庭当時はなかった樹木と云えますが,その樹木の存在意義については,実際に見ることで色々と考えさせられます。

 庭は,樹木や時間といったものを相手にしているので,日々変化するもの,変化をしない方が良いものと,千差万別です。樹木の有る無し,どちらが良いとも言い難いのですが,答えはなかなか出てきそうにありません。

 作庭当時に戻すことは,庭師天一の見た庭に戻りますので,本来いいのだろうと思いますが,とはいえ,長い年月をかけて時間を経てきた空間の在り方を考えると,あえて抜かなかったヤマモモの存在も大きいものがあり,色々な意見が出る庭だと思いました。庭の保存を考えるうえで良い庭の事例の一つだと思います。


中心にヤマモモのある成就院庭園