2011/05/30

六角堂の空間

 京都東洞院西入る頂法寺の六角堂を台風が来つつある大雨の中ですが、いつものように見に行ってきました。この空間は、とても興味深いものです。その空間は、本堂が明治十年に建立されているものの、その雰囲気はとても凛としたものを持っています。六角形のお堂の均整取れた形は、訪れる人もきれいだなと感じてもらえるのではないか・・・そう思える建築物です。
 ただ、空間として残念なことは、本堂を見上げるとマンション群が視野の中に入ってくることです。建設当時の昔は、見上げても想像ではありますが、空が広がっている環境で、本堂と空が今よりももっと美しい空間、景観を創り出していたのではないかと思わざるを得ません。
 今は本当に想像だけなのですが、その当時の空間を見てみたい気分にいつもなります。しかし、現在は空間が残念ながら分断されています。今の状態は、新しい変化した景観といえるのでしょう。この景観が美しいと思う人もいるでしょうし、景観そのものが生き物と考えると、致し方がないと思わないといけないかもしれません。現に、そこに住まう人たちがいること、そこの土地で大きなマンションなどの構造物を建築してしまうこと、それを許してしまう空間の雰囲気があのではないかと考えると、今のように変化し続ける空間の在り方は、これからもさらに変化し続ける可能性があるのかもしれません。
 個人的には空間が分断される空間を好ましいとは決して思えないのですが、地元住民のみなさんがそれを許していることは、許容できることなのだと思いますし、致し方がないことなのだろうと思います。

六角堂の本堂