2023/03/15

石巻市震災遺構門脇小学校

 門脇小学校へ行きました。津波火災で残った本校舎の躯体をそのまま展示し,展示室での開設も分かりやすく,実際に見て学べる施設になっています。見るだけで圧倒される空間の中で,この遺構の存在意義はとても大きいものだと感じました。かつて,この門脇小学校周辺には沢山の家屋があった場に小学校遺構のみが残っているのは,この地元で生活されてきた人にとっての灯台のような意味合いを持つのではないだろうかと感じました。

 講義で自身の専門と自分が阪神の震災経験を重ねてのランドスケープの講義をします。が,ここ数年,この3月中旬に東北の震災に関する公園や遺構に行くたびに,講義で伝えたいことが増えています。本当であれば,講義を聞くよりも学生らには,実際に来て,見て,そしてこの空気感を感じて欲しいといつも思います。地元神戸の阪神大震災の記憶も町の中から,だいぶと無くなりました。遺構自体も,そもそも余り残っていない中で,これからどう継承するのか,記憶をどう繋ぐのか,この場所に立ってみて,同じなのだなと感じます。

 震災遺構を残すことに心苦しい人も多くいるでしょうし,見たくない人もいるでしょう。私も阪神の折はそうでしたが,残しているからこそ,点であっても記憶が繋げられると感じます。この場所を訪れた人にとって,記憶を続けられ,そして紡げられると感じています。

 ここは,人間にとって大切な震災遺構です。

門柱は再現されたそうです