2022/08/03

屋嶋城と城門跡

 高松の屋島山にある屋嶋城(やしまのき)を見てきました。ある山城の整備に関わることから,築城年代は全く違いますが,整備の参考になるのではと思って見に行ったのです。天智2年(663年)の白村江の戦い(はくすきのえのたたかい)の後に,国号も倭から日本に変わった政治的という大きな転換の時期に,作られた城です。石垣の形状復元には緩やかな傾斜があり,私たちが見慣れている近世城郭とは違った形状に面白さを感じます。古代の城の形状をしっかり見ることができるのは,とても勉強になりました。この城の形状を持て思い出したのが,首里城です。30年以上前の浪人の時,沖縄を訪れて首里城を見学した際,石垣の美しさに感動しました。緩やかな曲線を作り上げた石垣のデザインは,いま見ても綺麗に感じます。この屋嶋城の石垣は新しく復元されたとはいえ,やはり綺麗な曲線を形作っています。こういった城郭が四国で見られるとは思いませんでしたが,古代の城の面白さだなと感じました。

 この屋嶋城の位置は,高松,瀬戸内を一望でき,城郭としての機能を良く考えて配置されたと感じます。そして,この地に散在した石たちから,良くここまできれいに復元できたものだなと感心します。教育委員会や担当した先生方の解析や分析,石の設置についても大変な時間と苦労があったのだろうとつくづく思われます。山腹にある城ですので,当時,築城した人はもっと大変だったことも偲ばれます。

 この屋嶋城は整備のよい事例かと感じましたし,今後関わる史跡整備についての参考にも十分なる整備と思いました。

高松が一望です