2022/02/09

垂直の庭

 新山口駅の通路に壁面緑化がされています。Patrick Blancさんのアート作品の一環でもある「Vertical Garden」です。完成は201510月。大変大きな作品で100m×50mの壁面いっぱいに植物が配置されています。もちろん植物ですので,自動潅水式による散水もしっかりされています。この新山口駅は,津和野の日本遺産の調査で2016年に下車して以降,気になる壁面緑化でした。それからしばらくしての2021年末に再び見ることになり,壁面がしっかりと保っていること,そしてこの新山口駅の空間に溶け込んでいるなと感じました。植物は地元の植物を中心に植えられており,とても好感を持ちました。壁面だけでなく,地上部にも植栽され,ベンチもあり,駅での穏やかな空気感を作り上げてくれています。緑の使い方にいおって,空間と一体化したこの作品は訪れる人にとっても良い刺激があるのではないだろうかと感じるところです。もしかすると,この垂直の庭があって当たり前の空間になっていることから,空気感的にも馴染んだ風景になっているのではないでしょうか。

 垂直の庭のあるこの新山口駅。昭和の終わりですが,祖父に津和野に連れてもらった時の駅名は,小郡駅でした。ホームに立つと小郡駅当時を思いだすことが出来ました。そこは古い雰囲気をまだ保ちつつ,この垂直の庭のある新しい空間とうまく調和し,線引きが出来ているなと感じました。町それぞれによって,様々な表情があります。新しいものと古いものがうまく次に繋がっていく空間づくりは大切だなと強く感じます。「絶つ」のではなく「つなげ」そして「つむぐ」。この流れは街の歴史を良い方へ作ってくれるのだろうと思います。これは新山口駅の垂直の庭がうまくつながっていくのではないかと感じるところです。この5年間,見た中での経緯でそう感じました。これから来年度も津和野へ行く機会がありそうですので,何度も新山口駅には訪れられそうです。そのたびに楽しく見させてもらおうと思っています。

みどりと駅