2015/09/05

能登の千枚田

 能登にある千枚田です。まだ青々としています。収穫まではまだ先です。風に吹かれて稲が気持ちよさそうでした。観光客も数多く来ていましたが,この空間の維持をする人たちのご苦労を考えつぃまいました。大変な労力の必要な棚田で,さらに日本海側ですから気候も厳しい斜面での空間です。残念ながら手前の空間にはもう放棄された田が散見されました。高齢化の問題がだいぶとあるのかもしれません。担い手の不足もあるのかもしれません。この千枚田の案内板にはボランティアによっても作業がされているとも書いてあり,頭の下がる思いです。ただ,なかなか厳しいのではないのかなと思いました。かつて,日本の各地で美しい棚田が見られました。私の調査フィールドであった神戸市西区でも谷津田があり,美しい稲穂の空間がかつては広がっていました。しかし,農業従事者の高齢化と次の世代の継承が無く,日本各地での里地里山がだいぶ疲弊しています。このことは,私が農学部生のころから言われていましたので,愛大で学んでからもうだいぶと時間が経っているものの,根本的な解決は大変難しいようです。言うのは簡単なのですが,継続するのは大変難しい。棚田は,日本を含めたお米文化圏の宝ですが,私たちが思うほど簡単な問題ではないのです。里山イニシアチブでもいわれていますが,よく考えると,李錬は大切であるものの,文字で言うのは易きものです。生物多様性国家戦略でも常日頃言われているものの,実行するに至っては中々,進まないのかもしれません。ルーラルランドスケープともいわれるこの空間に,私達に何ができるのか,考えていくとむなしくなることもありますが,できる限り自分たちの知恵や力をうまく使っていければと考えて,前に進めたいものです。


日本海の蒼と棚田の緑。きれいです