2023/11/26

阪神百貨店の屋上緑化

  大阪梅田の阪神百貨店の屋上には,緑化された空間があります。屋上緑化です。実は,この緑化は,屋上に加えて壁面にも緑化され,一つの空間を形作っています。特に,壁面は六甲山系の山並み,スカイラインをデザインした緑化空間でもあり,夜見て頂くとライティングが美しく映えます。(この屋上緑化については,兵庫県立大学の大藪崇司先生がコラムを載せています。緑の在り方や経緯など詳しく書いていますので,詳細はそちらをご覧ください)

 さて,この阪神百貨店の屋上緑化の一つの意義は,緑のパッチを作り出したことにあると思います。この緑化のパッチの前にはグランフロント大阪の緑の空間もあり,今後出来上がっていくうめきた二期工事のグラングリーン大阪の緑の空間が出来れば,その相乗効果として鳥などの生き物の移動できる空間が出来そうです。緑のコリドー(回廊)が出来れば,鳥たちもさらに移動しやすくなるかもしれません。実際,本研究室のゼミ生によるグランフロント大坂での鳥類調査の結果でも,ある程度のポテンシャルを持っているのが分かっています。そういったことからも,この阪神百貨店の緑のパッチは,その追い風になる可能性は高いと言えましょう。もちろん,生態系ディスサービスといった負の面も,もしかしたら出てくるかもしれませんが,それを超える生態系サービスが得られる可能性の方が高いと思われるので,この緑化空間の存在は都市に住まう,利用する人にとっても良いものと言えるのではないでしょうか。

 昨今の大都市圏における緑化の在り方は,平成の最初の頃に比べると,視点や意識が大きく変わってきています。実は,鳥の生息環境にとっても大きく変化していることから,その生息域の違いもこの都市の緑化によって大きく変動すると思われます。これからも都市域の鳥を見つめることで,新たな緑の在り方,使い方も見いだせられるのではないかと思うところです。

緑が多い空間です