2020/01/03

今宮神社拝殿の獅子と空間

 紫野にある今宮神社は,歴史を長くもつ神社であり,また,非常に広い範囲の氏子区域を持つ神社です。私の家もその氏子区域内に入るのですが,享保二年の京都御役所向大概覚書1によると東西では,堀川通から七本松通,南北では丸太町下る元離宮二条城辺りが南で,北山昇玄以通当たりが北の様です。さらに詳しくは,文献2)があり,なるほど大きく変遷してきたのだなと感じる所です。もっと調べると面白そうです。

 さて,普段は静かな境内も正月三が日と言う事で,だいぶにぎわっています。江戸初期に造成された拝殿(登録有形文化財)には,本社に向かって獅子が二頭おかれておりました。獅子が拝殿の中央に置かれていることで,この拝殿の場,空間に緊張感を与えている雰囲気を醸し出しているようです。本社への御参りの方たちの晴れやかで,にぎやかな雰囲気も,拝殿の中だけは空気感が違うようです。「場」の在り方を考えさせて頂けたと思います。
 こういった少しの環境で,これだけの効果を生み出すのは,今宮神社の境内だからともいえますが,それを外しても拝殿の空間性の凄さなのだろうと感じました。

1)岩生成一他 (1988) : 京都御役所向大概覚書 上巻,下巻 : 清文堂出版, 1050pp.
2)本多健一(2009) : 中世後期の京都今宮祭と上京氏子区域の変遷, 歴史地理学51(4), 1-22

獅子並ぶ